アルコールと健康

お酒は、その伝統と文化が国民の生活に深く浸透している一方で、不適切な飲酒は健康障害等につながります。アルコールによる健康障害は、本人の健康の問題であるのみならず、その家族への深刻な影響や重大な社会問題を生じさせる危険性が高いとされています。

節度のある飲酒は、ストレスの解消やコミュニケーションを促進させる等といった良い点もあるため、節度ある飲酒について確認しましょう。

みんなに知ってほしい飲酒のこと

 

目次

 

過度な飲酒による影響

過度な飲酒や、飲酒後の行動によって、次のようなリスクが高まる可能性があります。

  • 急激に多量のアルコールを摂取すると「急性アルコール中毒」
  • 長期にわたって大量に飲酒をすることによって「アルコール依存症」「生活習慣病」「肝疾患」「がん」
  • 過度なアルコール摂取により運動機能や集中力の低下等が生じることによる「事故」
  • 飲酒後に適切ではない行動をとることによっての「怪我」「他人とのトラブル」「紛失物」

不適切な飲酒とは

次のような飲酒にかかわる行動は、法律で禁止されていたり、健康や社会生活に悪影響を及ぼす可能性があります。

飲酒をする場合には、自分が現在どのような状況にあるのかを確認し、飲酒できる状態であるか判断していく必要があります。

  • 酒気帯び運転等(酒気帯び運転をさせることを含む)
  • 20歳未満の飲酒(20歳未満に飲酒させることを含む)
  • 飲酒による不適切な状態での動作や判断によって事故や事件を招いてしまう行為
    フォークリフト等の機械の操作、公衆への迷惑行為等
  • 妊娠中・授乳期中の飲酒
    妊娠中の飲酒により、胎児へ胎児性アルコール症候群等をもたらす可能性があります。授乳期中などには、家庭内などの周囲の理解や配慮が必要です。
  • 体質的にお酒を受け付けられない人(アルコールを分解する酵素が非常に弱い人等)の飲酒
    アルコールを分解する酵素が非常に弱い人は、ごく少量の飲酒でも、強い動悸、急に意識を失うなどの反応が起こることがあり危険です。
  • 一時多量飲酒(特に短時間の多量飲酒)
    様々な身体疾患の発症や、急性アルコール中毒を引き起こす可能性があります。
  • 他人への飲酒の強要等(アルコールハラスメント)
  • 不安や不眠を解消するための飲酒
    不安の解消のための飲酒を続けることによって依存症になる可能性を高めたり、飲酒により眠りが浅くなり睡眠リズムを乱す等のリスクがあります。
  • 病気等療養中の飲酒や服薬後の飲酒
    病気等の療養中は、過度な飲酒で免疫力がより低下し、感染症にかかりやすくなる等のリスクがあります。また、服薬後に飲酒した場合は、薬の効果が弱まったり、副作用が生じることがあります。飲酒の可否については、主治医に相談しましょう。
  • 飲酒中又は飲酒後における運動・入浴などの体に負担のかかる行動
    飲酒により血圧の変動が強まることなどによって、心筋梗塞や転倒などリスクがあります。

 

お酒との付き合い方を見直してみよう

次のポイントに注意して、自分に合った飲酒量を決め、健康に配慮した飲酒を心がけましょう。

 

自らの飲酒状況などを把握する

アルコールの分解は、年齢や性別による個人差が大きいため、自分の状態に応じた飲酒により、飲酒によって生じるリスクを減らすことが重要です。

  • 高齢者は体内の水分量の減少等で、若いころと同じ飲酒量でもアルコールの影響が強く現れ、転倒、骨折、筋肉の減少の危険性が高まります。
  • 20歳代の若年者は脳の発達の途中であり、健康問題のリスクが高まる可能性があります。
  • 女性は、一般的に男性と比べて体内の水分量が少なく、分解できるアルコール量も少ないため、アルコールの影響を受けやすいことが知られています。
  • 体内のアルコール分解酵素の働きの強弱などが個人によって大きく異なり、顔が赤くなったり、動悸吐き気を引き起こす可能性があります。

AUDIT(久里浜医療センター)(飲酒問題の早期発見等のため、簡単な質問でアルコール関連問題の重症度の測定を行うスクリーニングテスト)等を参考に自らの飲酒の習慣を把握しましょう。

 

あらかじめ量を決めて飲酒する

自ら飲む量を定めることで、過度な飲酒を避けるなど飲酒行動の改善につながると言われています。

行事・イベントなどの場で飲酒する場合も、各自が何をどれくらい飲むかなどをそれぞれ自分で決めて飲むことが大切です。

 

わが国では、生活習慣病のリスクを高める1日当たりの純アルコール摂取量を、男性40g以上、女性20g以上としています。

例えば、ビールなら中瓶1本(500ml)で、純アルコール量20gとなります。

酒類に含まれる純アルコール量の詳細はe-ヘルスネット(厚生労働省)をご確認ください。

 

飲酒前、飲酒中に食事をとる

飲酒前、飲酒中に食事をとることによって、血中のアルコール濃度を上がりにくくし、お酒に酔いにくくする効果があります。

ただし、食べ過ぎは生活習慣病の発症リスクを高める可能性があります。食事の内容や量にも注意が必要です。

 

飲酒の合間に水を飲む

水や炭酸水などを混ぜてアルコール度数を低くして飲酒をする、少しずつ飲酒する、アルコールの入っていない飲み物を選ぶなどの工夫により、アルコールをゆっくり分解・吸収できるようになります。

 

1週間のうち、飲まない日(休肝日)を設ける

毎日飲酒を続けた場合、アルコール依存症の発症につながる可能性があります。

一週間の純アルコール摂取量を減らすために、定期的に飲酒をしないようにするなど配慮が必要です。

 

飲酒チェックツール SNAPPY PANDA

SNAPPY PANDA(スナッピー・パンダ)とは、自分が飲んだお酒の種類を選ぶと、簡単に総飲酒量(純アルコール量)とお酒の分解にかかる時間が計測できるインターネット上のツールです。自分の飲酒量を知ることで、飲酒運転防止にも役立ちます。

 

アルコールに関する相談窓口

自身や周りの方のアルコールに関する相談は、各保健センターのほか、埼玉県でも受け付けています。

 

関連項目(リンク集)