秩父多摩甲斐国立公園に位置する甲武信ケ岳を囲む、秩父市・山梨市・川上村は、地域の自然保護、環境保全および美化に対する問題について、お互いに考え、お互いに取り組んでいます。平成19年に秩父市を会場に「甲武信源流サミット」を開催し、毎年継続して源流地域の皆様とともに「いのちの水」の大切さを内外に発信しています。
甲武信源流サミット宣言
甲武信ヶ岳に源を発する荒川、笛吹川(富士川)、千曲川(信濃川)の源流域に位置する埼玉県秩父市、山梨県山梨市、長野県川上村は、「いのちの水」を育む地域として流域の人々の暮らしを支えてきました。
しかし、近年源流の森は山の担い手不足や鳥獣害などのために荒廃しつつあり、このままでは、源流の森が生み出す緑の大気や清流を守り続けていくことができなくなってしまうかもしれません。
このため、甲武信ヶ岳を中心とする源流地域に住む私たちは、この流域のすべてのいのちを育み、守る使命のあることを確認し、地域の環境保全・改善等のための取組みを進め、さらに、他地域からも源流地域に目を向けていただけるよう協力を求めることが肝要と思います。
そこで、私たち3自治体は、豊かな自然環境を子孫へ伝えるために、力を合わせて源流の森を守ることを誓い次のとおり宣言します。
甲武信源流サミット宣言文
- 甲武信ヶ岳を中心とする源流地域は、人間のいのちの源となる水を育む地域であることを下流域の住民にも訴え、その環境保全・改善に努めます。
- 甲武信ヶ岳を中心とする源流地域の環境、生態系、住民生活に重大な被害を及ぼす有害鳥獣については、実態を把握し、地域間で相互に情報を共有して必要な対策を講じます。
- 甲武信ヶ岳を中心とする源流地域にあり、限界集落に直面している地域は、今後も良き日本文化を継承しながら、地域の環境保全を支えなければならないため、これら集落の将来を見据え、後世に残していくよう努力します。
- 甲武信ヶ岳を中心とする源流地域に保全されている原生林や自然環境を守るため、山林火災等の防止に努め、互いに協力します。
甲武信ヶ岳は、東京湾、駿河湾、日本海に注ぐ3河川の分水嶺で、その流域面積は広大であり、この宣言を全国に発信することは大変価値のあることです。このため、国及び関係する都県に森林環境税の導入や、この目標を達成するための協力を要請します。
平成19年11月18日締結
災害等発生時相互応援に関する協定
甲武信源流サミット宣言をしてから10年目となる平成29年、3自治体の中で発生した災害等に対し、十分な応急対策が実施できない場合などに相互応援するための協定を締結しました。
この協定における相互応援とは、食料や生活必需品などの物資提供や被災者等一時受け入れのための施設提供、救助や応急復旧に必要となる職員派遣などを想定しています。
災害のないことが一番ですが、万が一の際に普段から交流のある地域が助け合うことを改めて確認できました。