進む人口減少・少子高齢化
2008年をピークとして、全国的に人口減少が始まっています。(国土交通省:国土形成計画参考データ集)
秩父市においても、平成27(2015)年に約6.4万人だった人口は、令和22(2040)年に約4.5万人にまで減少する一方、高齢者の割合は「30.7%」から「41.2%」まで増加すると見込まれています。
今後、社会全体で子育てしやすい環境を作っていくことはもちろんですが、人口が減少する中で、経済社会水準の維持を図るには、限られた労働力でより多くの付加価値を生み出し、一人あたりの所得水準を高めなければなりません。(総務省:平成30年情報通信白書)
地域別人口推移(予測値については国土総合技術研究所将来人口予測ツールv2により秩父市都市計画課作成)
秩父市の各地域別の過去から将来にかけての人口については、以下のように予測されています。
中央 |
35,543 |
23,357 |
15,357 |
大田 |
2,918 |
2,173 |
1,809 |
尾田蒔 |
4,065 |
5,043 |
3,738 |
原谷 |
4,895 |
9,571 |
7,854 |
高篠 |
5,140 |
5,000 |
3,261 |
久那 |
1,309 |
1,313 |
827 |
影森 |
4,721 |
6,292 |
5,590 |
浦山 |
1,205 |
101 |
42 |
吉田 |
8,556 |
4,742 |
2,790 |
大滝 |
8,202 |
788 |
238 |
荒川 |
6,257 |
5,175 |
3,213 |
合計 |
82,811 |
63,555 |
44,719 |
- 将来的には市全域で人口が減少する見込みです。
- 過去から現在にかけては、中央部や山間部で人口減少する一方、原谷・影森などは増加しています。
- 人口減少率の高い地域ほど高齢化率や空き家率も高くなっています。
- 山間地においては、無居住地化が予測される地域も見られます。
地域別にグラフ化しています!
⇒秩父市のより細かな人口分析へ
秩父市のいま~空き地・空き家が増えています~
日本全体で人口が減少し始めているにも関わらず、新たな宅地や住宅の開発が続いています。結果として、日本各地で空き地・空き家問題が増え、社会問題化するようになってきました。
秩父市でも、2017(平成29)年に空き家実態調査を行い、どういったところに空き家が多いか調べました。すると、特に下図赤線の内側にある「昔からのまち」で空き家が多くみられました。
1960(昭和35)年には、鉄道駅に近い中心部に大野原や影森も含めた今の市街地に住む人と同じぐらいの人がまとまって暮らしていました。しかし、当時そこで暮らし育った人も、今では日当たりもよく広い家を求めて郊外に移り住み、自動車に乗って買い物に出かけています。
その結果、現代の人が求める道路や敷地の広さを満たせない古い家屋が多く空き家になってしまいました。
出典:国土数値情報人口集中地区データ・
平成27年都市計画基礎調査
1960(昭和35)年DID区域人口28,090人
2015(平成27)年用途地域内人口26,397人
昔は影森や日野田にもたくさん畑がひろがっていたよ!
⇒地図で振り返る秩父市のむかし
秩父市のいま~多様な交通・物流手段の確保に向けて~
秩父市では交通手段の自動車分担率が高く、自家用車を利用する人は7割を超え、鉄道やバスを利用する人は全体のわずか5%程度です。
このことは、半世紀近く前からすでに課題になっていたようです。1977(昭和52)年発行の旧秩父市総合振興計画には、すでに「近年農山村地域の人口流出、自家用車の普及によりバス利用者が激減し、バス企業の経営は著しく悪化し、運行の継続が著しく困難」であると記されているほどです。
今後、人口減少がさらに進むと、公共交通機関の経営環境はますます苦しくなってしまいます。労働力の不足による乗務員不足などの課題もより一層鮮明になってしまうでしょう。
しかし、前述の同振興計画においても、バスは「地域住民の生活上欠くことのできない主要交通機関」とされ、いろいろな取り組みを続けながら今日まで維持されています。自動車を運転できない人にとって、バスやタクシーは移動手段として欠かすことができないものです。
アンケートによれば、高校生にとって1週間に数回以上鉄道・バスを利用する人の割合が5割を超え、単身高齢世帯の多い大滝地区では他の地域に比べて公共交通機関を利用する人の割合が高くなっています。
今後、高齢単身世帯がさらに増加することや、運転免許返納問題を考えると、公共交通が果たす役割はさらに大きくなってくるのではないでしょうか。
秩父地域には、昔から地域のために努力を続けている公共交通機関、学校・介護保険や障がい者福祉サービスに連動した医療・福祉の送迎サービス事業者も多くあります。
物流においても、従来の移動販売のほかネット通販を利用する人が増えたことによる配送料の増加、また各地で自動運転・MaaS(Mobility as a service)(wikipedia)など新たな技術の実用化に向けた取り組みが行われており、交通・物流を取り巻く環境は大きく変わろうとしています。
これら新技術も含めて、関係者と連携を図りながら課題解決に取り組むとともに、公共交通をより利用しやすい環境の整備を進めていかなければなりません。
秩父市のいま~観光客が増えています
今やテレビで連日秩父市が紹介され、秩父市をおとずれる観光客が非常に増えています。
2010 |
3,905,600 |
2011 |
3,544,200 |
2012 |
3,956,600 |
2013 |
4,107,400 |
2014 |
4,690,600 |
2015 |
5,076,600 |
2016 |
5,375,600 |
2017 |
5,827,200 |
2018 |
5,634,900 |
2019 |
5,375,700 |
出典:秩父市観光課
携帯電話の電波利用状況をもとに推定された人口の滞在状況を調べてみると、休日に秩父市に滞在している人は、国勢調査人口を大幅に上回っており、その多くが観光客であると推定されます。 (RESAS>まちづくりマップ>滞在人口率)
秩父市は東京に近く、日帰り観光客が多い地域とされている地域ですが、近年宿泊者も非常に増えてきている様子です。 (RESAS>観光マップ>From-to分析(宿泊者))
今後、さらに進む人口減少によって、消費行動だけでなくお祭りなど地域の行事を含む”まち”の活力低下が懸念されています。幸いにも、秩父市は東京から電車1本で来ることのできる”ちかいなか”です。ポストコロナ社会における新常態(ニューノーマル)の動向を見定めながら、都会にない新たな魅力を発見し、観光客を含む”関係人口”を増やすことによって、地域の活力を維持できないでしょうか?
⇒総務省:関係人口ポータルサイト
秩父市のいま~防災・減災への取り組みが必要です~
秩父市でも、2019(令和元)年の台風19号では家屋が浸水したり、傾いたり、土砂の侵入する被害がありました。
浦山や大滝、吉田の山間地などでは住宅のほとんどが土砂災害のおそれのある区域に含まれています。また、これらの地域では、高齢化や人口減少によって、自助・共助の枠組みが崩れかけており、いざというときに命を守るため官民一体となって助け合う仕組みが求められています。
また、市街地においてはハザードエリアも少なく比較的災害に強い安全な地域とされていますが、1980年代から2000年ごろにかけて市街地縁辺部の危険ながけ上や斜面を造成した土地に住宅が建てられており、こういったところでは特に注意が必要です。
今後は、できるだけ安全なところに住むようにし、危険なところに家は建てないようにするなど、「減災」に対する取り組みが必要ではないでしょうか?
秩父市では、立地適正化計画の策定における国土交通省の 防災コンパクト先行モデル都市として、全国の自治体に先駆けて安全なまちづくりに取り組んでいます。
安心・安全なまちづくり!
⇒防災・減災に向けたまちづくり
20年後・秩父市をこんなまちに
基本目標1 みんなが「総活躍」し、豊かさを感じられる日本一しあわせなまち
立場や世代を超えてみんなで活躍!日本一しあわせなまち!
基本目標2 さまざまな移動・物流手段に支えられた、ヒト・モノ・カネ+情報が交流する活力あるまち
自動車、電車・バス・タクシー、自動運転やドローンも!?ネットも便利で楽しいまちに!
基本目標3 多くの人が訪れ美しい自然環境と文化を堪能できるまち
来て見て楽しい!都会とちがう景色と自然と歴史と文化!「ちかいなか」を楽しもう!
基本目標4 誰もが「安心・安全」に暮らせるまち
あらゆる危険に備えよう!「セーフコミュニティ」に基づく安全なまちづくり!
将来像を実現するための都市づくりの考え方
中心拠点では以下のようなまちづくりを行っていきます。(立地適正化計画)
都市づくり方針1 さまざまな交通・物流手段を利用して暮らしていけるまち
- 西武秩父・御花畑駅・秩父駅周辺に都市機能の立地集約を図る
- 公共交通の結節機能と利用利便性を高める
- 中心拠点周辺・公共交通利便エリア周辺への居住誘導
都市づくり方針2 訪れるたびに異なる自然や文化、多様な個性を楽しめるまち
- 旧市街地で魅力ある街並みづくりを進める
- 歴史・文化資源や自然資源の周囲で散策ルートなどを整備する
また、以下の区域や施設を定めます
- 居住誘導区域(都市再生特別措置法第81条第2項第2号)
- 都市機能誘導区域(都市再生特別措置法第81条第2項第3号)
- 誘導施設(都市再生特別措置法第81条第2項第4号)
※市のおかれている現状分析や、皆様からいただいたアンケートをもとに検討を進め、具体的な区域や施設は来年1月のパブリックコメントにおいて公表します。
その他の地域別方針や、施設の整備方針について
中心拠点以外のまちづくりの方針も都市計画マスタープランにおいて個別に検討し記載しています。
詳しくは1月中旬以降パブリックコメント形式で皆様に案をお示ししますので、ぜひ意見をお寄せください。(市報1月号にてご案内します。)
このページは令和3年3月までの間随時更新していきます。