秋色に染まった秩父の山々が、澄みわたった青空に映えています。秋は、多くの学校行事があります。先日、秩父地区の小・中学校音楽祭に出席しました。新しくなった秩父市民会館・大ホールフォレスタに、子どもたちの澄んだ歌声が響きわたりました。また、秩父市青少年健全育成推進大会では、小・中学生の「青少年の主張」の入賞者の発表が行われました。その中で、小学6年生の女子児童の発表がとても素晴らしく、印象に残りました。将来、看護師になりたいという希望を持つ女子児童。母親が看護師として働く姿に憧れてのものでしたが、それだけではありません。女子児童が母親を凄いと思った理由は、母親が看護師として患者への病気の対応を行うだけでなく、女子児童の祖母(ご本人の母親)の終末期看護を家庭で行い、最期は自宅での時間を過ごしながら逝きたいという祖母の希望を実現させたためでした。そんな看護師の母親の姿を見て、自分も看護師になりたいと思うというものでした。自身の祖母の終末期にあたり、看護師である母親の対応を通して、終末期医療、ターミナル・ケアという社会問題を、子どもらしい優しい表現で、力強く提起した小学6年生の女子児童の主張は素晴らしいと思いました。
学校訪問をしていて、子どもたちの「新しい力」が、確かに伸びているのを感じます。総合的な学習の時間が学校教育に導入された平成12年(2000年)から17年が経過しました。子どもたちの自己の主張を明確に述べる力、説得力ある表現力など、新しい力が明らかに伸びつつあるのを感じています。秩父市の子どもたちに、確かな学力の基礎である「知識・技能」とともに、「思考力・判断力や表現力」、あるいは、「学びに向かう姿勢」をはじめ非認知能力など、これからの不透明な時代を生き抜く力を更に育てていきたいと、改めて思いました。
さらに、これから社会の中でとりわけ必要となる情報活用能力(ICTの活用能力やプログラミング的思考力)やコミュニケーション手段としての英語力についても、しっかり身に付けさせたいと思います。特に、英語学習については、国をあげた英語教育改革の中で、新学習指導要領で小学校に教科・英語科が新設されており、来年度からの移行措置、2020年度の全面実施に向けてしっかりと取り組むとともに、秩父市教育委員会としても、秩父市英語土曜学習のセカンド・ステージとして、本年10月からネイティブ・スピーカーから使える英語を学ぶ、「チチブ・イングリッシュアンバサダークラス」※を開設しました。
このような「いろいろな力」については、教科の指導以外に生活を送る上で必要となる力も含め、日本では、学校教育で対応してきました。かつての日本人の歩き方である「なんば歩き」(右手と右足が同時に出る。武道、歌舞伎、能・狂言に見られる)も、明治の学校体育で西洋方式の行進の指導を取り入れた結果、手と足が逆に出る現在の歩き方になったとも言われています。学校教育が、生活全般、歩き方まで変えてきたのです。欧米で行われている、家庭や社会との分業による学校教育とは異なる、このような総合的な学校教育は、世界的にも評価されています。しかし、少子化の中、学校規模・教職員集団も小さくなり、このような要請を支えきれなくなってきています。これに対して、これまでの日本の学校教育の伝統である「知・徳・体」のバランスのとれた教育を引き続き行うため、学校間の連携をより強めたり、業務改善、コミュニティ・スクールによる家庭・地域の学校運営への参画を進めたりすることを通じて、持続可能な「地域の誇り」となる学校を創っていきたいと思います。
※秩父市英語土曜学習「チチブ・イングリッシュアンバサダークラス」
市内4か所の会場で、来年3月まで11回開催。ネイティブ・スピーカーから使える英語を楽しみながら学び、最終回の来年3月24日(土)には「チチブ・イングリッシュPRコンテスト~秩父の良いとこ自慢を世界へ発信~」を開催予定。
次のURLからチチブ・イングリッシュアンバサダークラスで学ぶ生徒たちの楽しい様子をご覧になれます。
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http://www.city.chichibu.lg.jp/7220.html