市民会議の経過報告
市役所本庁舎等建設市民会議において、本庁舎および市民会館の今後についての検討が行われています。
8月は、9日と23日の2回、市民会議が開催され、両施設の現状、耐震改修を行う場合と建て替える場合の整備内容とコスト比較、財政状況などの資料を提示しました。これに合わせて、今月の市報では、両施設の現状、耐震改修と建て替えとの比較を公表します。
本庁舎および市民会館の現状
本庁舎および市民会館は、平成17年度にすでに耐震診断調査を行っています(表1、2を参照)。その概要は次のとおりです。
構造耐震指標(Is値)
この指標は建物の耐震性能を表す指標で、値が大きいほど耐震性能が高くなります。公共施設の場合、0.75以上の強度が必要とされています。数値が0.3以下の場合には、大規模地震の際に建物が倒壊または崩壊する危険性が高く、早急な対策が必要となります。本庁舎、市民会館ともにこの基準値を大幅に下回っています。
建物の老朽化
本庁舎・市民会館ともに建設から相当な年数を経過しており、コンクリートの強度が一部劣ってきているうえ、施設や設備の老朽化が著しくなっています。このため、耐震対策・設備改修を行う検討を進めていました。その最中に、東日本大震災が発生し、本庁舎の耐震対策を優先的に行う方針を決定したという経緯です。
現在市役所本庁舎と秩父宮記念市民会館の建物周辺にはバリケードが設置され、関係者以外は中へ入れないようになっています。
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本庁舎のクラック(ひび割れ)
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表1 耐震診断判定結果(一部抜粋)
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本庁舎
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市民会館
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耐震性能
(Is値)
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0.14~0.55
(必要基準値0.75)
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0.24~0.74
(必要基準値0.75)
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構造上の問題
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- コンクリートの強度に劣化がある
(現在17.2N/mm2)
( 当初設計時の強度は17.6 N/mm2、階層により14.0~19.5のバラツキあり)
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- コンクリートの劣化により、柱梁の一部にヒビ割れ、外壁に剥離箇所が見られる。
- 大ホールを支える梁にたわみが生じている。
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経過年数
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49年
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44年
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一般的な耐用年数
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60年
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60年
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表2 耐震性能(震度6強~7の大地震が発生した場合)
構造耐震指標(Is値)
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建物の被害状況
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0.3未満
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倒壊または崩壊する危険性が高い
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0.3以上0.6未満
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倒壊または崩壊する危険性がある
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0.6以上
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倒壊または崩壊する危険性は低い
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耐震改修か、建て替えか
耐震対策には改修して補強する方法と新しく建て替える方法があります。それぞれの場合の概要を表3にまとめました。
まず、「耐震改修の場合」ですが、補強のみの場合で5億円近いコストがかかります。老朽設備の改修も同時に行う場合、さらに経費がかかります。そして、近い将来に建て替えを行う必要がありますが、その際は合併特例債を使うことはできません。
一方、「建替えの場合」、施設の長期的な活用や利便性は高まりますが、初期コストが高くなり、工期も長くなります。
なお、いずれの場合も市の実質的な負担を抑えるため、合併特例債等を活用する予定です。
以上の点を踏まえて、市民会議で耐震方法の検討を進めています。
表3 耐震改修と建替えの比較
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耐震改修の場合
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建替えの場合
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概
算
コ
ス
ト
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- 本庁舎および市民会館を耐震改修する場合(耐震補強+大規模な改修)
約41.8億円
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- 本庁舎および市民会館を合築
約49億円
(設計、外構、解体費用等を含む)
※施設のコンパクト化・低コスト化を図るため、本庁舎に市民会館機能を合わせ持つ施設として建設する場合の事業費で、財政計画で計上可能な上限額として想定。
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- 市民会館 耐震補強改修及び設備改修
約22.5億円
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- 本庁舎部分 (約20億円)
- 市民会館部分 (約29億円)
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メ
リ
ッ
ト |
- 建替えより経費が安くできる
- 短期間で耐震対策ができる
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- 防災拠点の確保ができる
- 施設の利便性が高まる
- バリアフリー化が図れる
- 長期にわたり利用ができる
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デ
メ
リ
ッ
ト |
- 補強により本庁舎の事務スペースが約2割減少し、市民会館の客席が現在の1,110席から約700席に減少する
- 建物の延命化にはならない
- 近い将来に建て替える際は自主財源となる
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工
事期間 |
約12か月
(本庁舎は平成25年度)
(市民会館は平成26年度以降) |
約33か月
(平成25年度~27年度) |