秩父市の教育長に就任して、1年が過ぎました。この間、学校関係者、保護者の皆様方、地域の皆様方には、大変お世話になりました。平成28年度も何よりも秩父市の子どもたちのために尽力いたしますので、どうぞよろしくお願いします。
年度末の3月31日、卓球のオリンピック日本代表(候補)、伊藤美誠(いとう・みま)選手が秩父市に来て、市内の卓球部の中学生たちに直接指導をしてくれました。伊藤選手といえば、この3月に中学校を卒業したばかり。3月はじめにクアラルンプールで開催された世界卓球2016では、女子団体戦の銀メダル獲得の立役者。眼の前で見るそのプレーは、さすが世界級だと思いました。そんな選手から直接指導を受けた秩父市の生徒たちは、一生の宝物になったと思います。はじめ、希望者が一人ずつ出て、伊藤選手を相手に、5本先取の試合を行いました。中には伊藤選手から1本取った生徒もいました。数名の生徒との試合が終わり、これでは多くの生徒は見るだけで終わってしまうと思った頃、指導者から、全員立って、伊藤選手が立つ卓球台の横で大きな円を作るように指示がありました。生徒107人の大きな輪ができました。伊藤選手一人を相手に、生徒一人につき1本ずつ交代でつないでいきました。大きな輪は、ラリーが続く中で何周も回りました。生徒一人一人の顔が活き活きと輝いていました。伊藤選手は代わる代わる延べ何百人もの相手をすることになり、大変だったと思いますが、生徒たち一人一人には、オリンピック日本代表(候補)と直接打ち合ったという素晴らしい宝物が残りました。指導の仕方を少し工夫することで、一人一人が「活動に参加している実感・達成感を持ちながら、充実した時間を過ごす」ことができるのだな、と思いました。伊藤選手に心から感謝します。
学校でもこのような充実した時間を増やすための工夫をしていきたいと思います。現行の学習指導要領の総則にも、「指導方法や指導体制の工夫改善など個に応じた指導の充実」について示されています。支援が必要な子どもたちも含め、一人一人を大切にする教育、個に応じた指導の充実は益々大切になってくると思います。
秩父市においては、今年度も引き続き市を挙げて学力向上に取り組みます。一人一人の学習課題の把握、個別の課題に即した指導方法や指導体制の工夫改善等の研究に、タブレット等の活用も視野に入れて取り組みたいと思います。
2016年4月8日