3月も中旬、残り少ない3学期、引き続き緊張感を持って学校運営に当たるとともに、一人一人の子どもを次のステップに向けて、「できること、分かること」を一つでも増やして送り出すことができるよう指導していきたいと思います。
さて、秩父市では、3月になると正午、街中に「旅立ちの日に」のメロディーが流れます。この曲は、今から26年前の3月に、秩父市立影森中学校の当時の校長、小嶋登先生が作詞、音楽担任の高橋浩美先生が作曲、「卒業生を送る歌」としてプレゼントされ、今では全国の多くの学校の卒業式で歌われています。
『白い光の中に山なみは萌えて、遥かな空の果てまでも君は飛び立つ(中略)いま、別れの時、飛び立とう未来信じて、弾む若い力信じて、この広いこの広い大空に』
この歌を聴いて、このような希望に満ち、そして優しい歌詞、メロディーが生まれた背景に、秩父の豊かな自然、伝統文化に培われた落ち着いた雰囲気があるのだなと思いました。
秩父の山々、荒川の清流、秩父の景色、豊かな自然は人の心を豊かにしてくれます。学校訪問の時、子どもたちの絵画を見る機会があります。秩父市の子どもたちの絵は、色彩が豊かで大らかで明るい絵が多いという印象を持っています。また、学校訪問をしていただいた方々から、授業の時の子どもたちの表情がいいという感想をよくうかがいます。私も全く同感です。このような、明るさ、優しさ、穏やかさは、秩父の子どもたちの良さだと思います。秩父の美しい自然と伝統文化により、これまで培われた秩父の教育が、このような子どもたちの豊かな心を育てているのだろうと思います。
他人を思いやる心、生命や人権を尊重する心、自然や美しいものに感動する心、正義感や公正さを重んじる心など、豊かな人間性と社会性を育むために無くてはならない心です。
「確かな学力」の取組とともに、秩父の自然、伝統文化により培われてきた「豊かな心」を育む取組も進めていきたいと思います。
一人一人の次のステップへの旅立ちを、心から祝福したいと思います。
厳しい寒さが続いています。インフルエンザにより学級閉鎖になるところもあり、子どもたちの様子が心配です。体調管理、手洗い、うがいなど健康に気をつけたいと思います。
さて、昨年12月21日に中央教育審議会から出された答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策について」を読んでいます。本文だけでも242ページあり、それに膨大な資料が添付されており、読み込むのは大変です。
この答申は、グローバル化、急速な情報化や技術革新による社会的変化を踏まえ、2030年の社会と、更にその先の豊かな未来において、一人一人の子どもたちが、様々な社会的変化を乗り越え、よりよい人生とよりよい社会を築いていくために教育課程を通じて初等中等教育が果たすべき役割を示すことを意図しているとされています。
ざっと内容を拝見しますと、社会に開かれた教育課程、カリキュラム・マネジメント、アクティブ・ラーニング、プログラミング教育、小学校外国語教育の教科化など、新たなキーワードが並んでいます。これらについては、本年3月に新学習指導要領が告示され、実施までの間にしっかり趣旨を理解し、必要な諸条件の整備も含め準備を進めることにしたいと思います。
本文を読んでいて特に興味深かったのが、第1部第8章の「子供一人一人の発達をどのように支援するか -子供の発達を踏まえた指導-」のところです。
(1)学習活動や学校生活の基盤となる学級経営の充実、(2)学習指導と生徒指導、(3)キャリア教育(進路指導を含む)、(4)個に応じた指導、(5)教育課程全体を通じたインクルーシブ教育システムの構築を目指す特別支援教育、(6)子供の日本語の能力に応じた支援の充実、と各学校が教育課程を編成し実施する上で、配慮すべき重要な事項について提言されています。その中で、(4)の個に応じた指導については、個別の学習支援や学習相談を通じた支援や教職員定数の充実などの指導体制確立やICT環境などの教育インフラの充実など、個に応じた指導に必要な条件整備にも言及しています。また、(5)の特別支援教育については、インクルーシブ教育システム構築の必要性を踏まえ、特別支援学校、特別支援学級、通級による指導だけではなく、通常の学級においても、一人一人の教育的ニーズに応じた指導や支援ができるようにすること、また、小・中学校と特別支援学校との教育課程の連続性についても言及されています。
特別支援教育は「個に応じた指導の老舗」であるといわれています。一人一人の子どもの実態把握から、教育内容を組み立て、教材や教育の手立てを探っていくというアプローチ。はじめに教科の目標・内容、そして教材ありきの通常の教育ではなかなか発想しにくいアプローチです。しかし、一人一人を大切にする教育においては、通常の学級においても、この特別支援教育のアプローチというものが必要になると考えます。今後、幼・小・中・高等学校の全ての教員が、このような特別支援教育の考え方や教育課程の枠組みを理解し、個に応じた指導、一人一人を最大限に伸ばす教育の取組を進めていく必要があります。また、それと同時に、それらの取組を可能にする条件整備が進められることを切に願いたいと思います。
平成29年、明けましておめでとうございます。旧年中は、大変お世話になりました。本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。
新教育委員会制度がスタートした平成27年4月に教育長に就任し、1年9か月が経過しました。この間、市長が主宰する総合教育会議での議論も踏まえ、教育委員会の機能強化、学力向上の取組、ICT活用・英語教育の充実など新たな課題への取組に、予算の裏付けも確保しながら着手しました。また、本年4月からのコミュニティ・スクールの導入も決めました。
国においては、昨年末、次期学習指導要領の改訂に関する中央教育審議会の答申が公表されました。現在、学校教育を受けている子どもたちが社会で活躍する2030年の社会、更にその先の豊かな未来を見据え、予測することが難しい様々な変化に対応する力を育成するため、「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)」の実現、英語教育の充実、ICTの活用推進などを内容とする、様々な改訂が進められます。
また、同じく昨年末に閣議決定された平成29年度予算政府原案においても、次世代の学校・地域創生プランの推進として、通級による指導の充実、外国人児童生徒への対応など、新たな教育課題に対応するための教職員定数の改善の他、学校現場における業務改善に係る事業、コミュニティ・スクール導入推進のための事業などが盛り込まれています。
この1年、このような国の動向も踏まえ、秩父の教育の良さも活かしながら、時代の変化に対応し、子どもたちの豊かな未来を見据えた教育の推進に取り組みます。
本日未明、秩父祭をはじめとした全国33件の「山・鉾・屋台」行事について、ユネスコ無形文化遺産への登録が決定したとの連絡を文化庁から受けました。エチオピア・アディスアベバで開催されたユネスコの政府間委員会で、12月1日、午前2時2分(日本時間)に正式決定されたとのことでした。
秩父の人々が誇りを持ち、受け継いできた秩父祭の伝統が、全国各地の「山・鉾・屋台行事」とともに世界に認められた証しであり、市民の皆様、そして、秩父市の次代を担う子どもたちとともに、お祝いをしたいと思います。
秩父の素晴らしい伝統文化を学校教育に取り入れ、秩父市の子どもたちに、誇りと、これらの伝統文化を継承・発展させていこうという意欲を醸成し、郷土を愛する態度、そして自己肯定感を育てていきたいと思います。
また、これを機に、このような秩父の良さ、日本の素晴らしい文化を世界に発信するために必要となる、コミュニケーション手段としての英語力を育成する教育の充実にも取り組みたいと思います。
→ Inscribed(ユネスコ無形文化遺産代表一覧表に記載)
http://www.unesco.org/culture/ich/en/10b-representative-list-00891
Examination of nominations for inscription in 2016 on the Representative List of
the Intangible Cultural Heritage of Humanity (item 10.b on the agenda)
10.b.19 Japan
EN: Yama, Hoko, Yatai, float festivals in Japan
FR: Yama, Hoko, Yatai, festivals de chars au Japon
Representative List File reference: 1059
Note: Inscribed (ユネスコ無形文化遺産代表一覧表に記載)
- 「山・鉾・屋台行事」のユネスコ無形文化遺産代表一覧表への記載に関する評価機関による勧告について
http://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/2016103101.html
教育長就任から1年半余りが経過しました。今月下旬~来月初旬に予定されている「秩父夜祭」のユネスコ無形文化遺産登録決定を心待ちにしています。
さて、学力向上については、毎月の校長会議において、学校を挙げた取組をお願いしています。また、学力向上のための学校訪問も、埼玉県教育局北部教育事務所の指導主事の先生方に同行し、校長先生と面談し、授業も拝見するようにしています。秩父市教育委員会でも、全国学力調査における現在の厳しい状況から脱却しようということで、指導主事を中心に知恵を出し、汗をかき、大車輪で取り組んでいます。これまでの取組を見直し、ICTの活用、学力向上ちちぶスタンダードの策定など新たな取組にもチャレンジしようとしています。学校からは、教育委員会の取組の全体像を示してほしいという要望があり、早速、秩父市学力向上「チチブチャレンジ」グランドデザインを策定しました。
この中で、秩父市における学力向上のミッションを明確にしました。「子どもたちの未来の幸せのための学力向上」。一人一人の子どもたちの、今はできないこと・わからないことを、一つでもできるように・わかるようにすること。そして、教師は、そのような子どもたちの姿を、教師の喜びとして取り組むこととしました。今より、少しでも伸ばして、9年間の義務教育として必要な全課程を修了させる、これが教育関係者の使命であることを明確にしました。
全国学力テスト結果の数字に一喜一憂する必要はありません。結果の数字は目的ではなく、改善のための手段に過ぎません。学校、自分の位置付けを知り、何が弱いか、どうすれば分かるようになるかという、改善の過程が大切です。そのために、現状をしっかり受け止め、全国における各学校の位置付けを知り、改善に向けて学校が一丸となって取り組むことに大きな意義があると考えます。学力向上の取組のPDCAサイクルの確立が最も大切な狙いです。幸い、今年度のテストでは、明るい兆しも見えてきました。小学校で、全国平均、埼玉県平均を上回る学校が増えています。これらの学校は、目に見える形で良い取組をしています。このような取組を共有し継続すれば、必ず改善につながるものと確信しています。
引き続き、秩父市学力向上推進委員会を中心に、各学校の取組を一層活性化し、「子どもたちの未来の幸せのための学力向上」に取り組みます。