秩父市の公共施設マネジメント

目次

  1. 公共施設マネジメントとは
  2. 人口と公共施設の状況 
  3. 財政状況と更新等の需要
  4. 公共施設マネジメントの具体的な取り組み

1.公共施設マネジメントとは

“公共施設マネジメント”とは、自治体経営の観点から、公共施設を総合的かつ計画的に管理や活用をしていくことです。

平成17年4月1日に四つの市町村の合併により現在の秩父市が誕生しましたが、合併前の市町村で庁舎や体育館等の施設をそれぞれ保有していたため、同種の施設が複数存在しています。その施設も30年以上前に建設されたものも多くあり、老朽化の対策が必要になっています。また、少子高齢化に伴う人口減少、生産年齢人口の減少による税収減などの財政状況の悪化から、公共施設の維持管理や更新費用を今後どうしていくかについて対応が必要になっています。


2.人口と公共施設の状況

(1)人口の減少・人口構成の変化

国立社会保障・人口問題研究所による「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年3月推計)」によると、秩父市の人口は今後30年間で約35%(約2万2千人)も減少すると推計されています。

  【人口推計】

人口推移

特に生産活動の中心となる15歳以上65歳未満の人口及び割合が最も減少すると予想され、今後も少子高齢化が進んでいく見通しです。          


  【人口構成の変化】
年齢構成

(2)用途別延べ床面積割合(普通会計)

秩父市が保有している公共施設等の延べ床面積は、平成30年3月31日現在で37万3894.98平方メートルです。そのうち特別会計の施設、公営企業会計の施設及びインフラ施設を除く、普通会計で管理している公共施設の延べ床面積33万9041.23平方メートルの内訳は下に示したグラフになります。学校教育系施設の延べ床面積が最も多く、公共施設全体の約36.2%、公営住宅が11.8%、スポーツ・レクリエーション系施設が11.1%、行政系施設が6.7%を占めています。

用途別延べ床

(3)一人当たりの延べ床面積

平成24年3月に総務省が公表した「公共施設及びインフラ資産の将来の更新費用の比較分析に関する調査」による全国平均(調査回答111団体)を大幅に上回っています(平均値(加重)の1.45倍、中央値の1.29倍)。
秩父市が保有している公共施設(普通会計)の床面積33万9041.23平方メートルを平成27年の国勢調査人口63,555人で割ると一人当たり5.33平方メートルに、令和27年の推計人口41,073人で割ると一人当たり8.25平方メートルになり30年後には1.55倍となります。

一人当たり延べ

3.財政状況と更新等の需要

(1)歳入・歳出予算の推移

歳入については、生産年齢人口の減少に伴う個人市民税の収入減が予想されます。また、地方交付税については、普通交付税の合併算定替の特例が平成28年度から段階的に引き下げられることにより大幅に減額すると見込まれます。

一方、歳出面では、人件費については定員適正化計画の徹底により削減に取り組んでいるものの、少子高齢化に伴う扶助費(児童・高齢者・障がい者・生活困窮者などに対して行う支援に要する経費)等の増加により、義務的経費全体は増えていくものと考えます。

秩父市中期財政計画(令和2年度)では、令和4年度から歳出が歳入を上回り赤字になると見込んでいます。赤字を埋めるため積み立てた減債基金を公債費の財源に充てて赤字を避ける計画ですが、基金には限りがあり、さらに歳入の減少を受けて財政規模が縮小していく状況では、公共施設の維持管理費や普通建設事業費に充てられる財源がより一層限られていきます。


【令和2年中期財政計画より】

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(2)投資実績と更新等費用の比較

 公共施設等へ「投資した実績」と「今後更新等にかかる費用の推計」を以下の表にまとめました。

普通会計で管理している公共施設(ハコモノ)に投資した、工事費や設計委託料(以下「工事費等」という。)は、年平均22.0億円となっています。
一方、今後40年間でこのまま公共施設(ハコモノ)をすべて保有することを前提に更新等に係る費用を試算したところ、年平均35.1億円となり1.6倍の費用を要する試算になっています。現状のままではすべての施設の改修や建て替えを行うことは困難です。
道路や橋りょうも、同様な傾向の試算結果が出ています。

(3)公共施設の老朽化

今後の更新等にかかる費用が多額になってしまう要因の一つとして、老朽化対策が必要になることがあげられます。築30年以上の施設の延べ床面積は、全体の44.7%を占めています。改修などで対策を講じなければなりませんが、時期が集中しやすい状況にあります。

4.公共施設マネジメントの具体的な取り組み

(1)秩父市公共施設等総合管理計画の策定

可能な限り公共施設等の機能を維持しつつ、できる限り次世代に負担を残さない効率的・効果的な公共施設等の配置を実現するため、議会の議決を経て「秩父市公共施設等総合管理計画」を策定しました。
なお、公共施設等総合管理計画とは「地方公共団体が所有するすべての公共施設等を対象に、地域の実情に応じて、総合的かつ計画的に管理する計画」(総務省HP「公共施設等の総合的かつ計画的な管理による老朽化対策の推進」平成26年1月24日より)のことで、総務省から平成26年4月22日付ですべての自治体に対して策定要請がなされています。

令和4年3月三訂版

 秩父市公共施設等総合管理計画【三訂版】(4099KB)

 

平成31年3月二訂版
 秩父市公共施設等総合管理計画【二訂版】(864KB)

 

平成27年12月初版
 秩父市公共施設等総合管理計画【初版】(1509KB)

 

(2)秩父市個別施設計画の策定

秩父市公共施設等総合管理計画の推進を図るため、個別具体の方針や取組みを体系的に定めた「個別施設計画」を策定しました。

令和6年10月一部改訂

 秩父市個別施設計画(3805KB)

 

令和4年1月策定

 秩父市個別施設計画(2958KB)

 

 

(3)公共施設(建物)の増減(平成30年度以降)

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(4)秩父市公共施設ファシリティマネジメント方針及び基本計画

公共施設やその設備をより少ないコストで有効に活用する“ファシリティマネジメント”に取り組むため、平成24 年1 月に「秩父市公共施設ファシリティマネジメント方針及び基本計画」を策定し、公共施設の適正管理のための三つの改革を提示しました。
【三つの改革】
 1.公共施設の数及び規模の適正化を図ること(量の改革)
 2.利用者の安全性や快適性等のサービスを向上させること(質の改革)
 3.市財政を圧迫しない計画的管理運営を実現すること(歳入確保)