秩父山地の二ホンオオカミ標本 毛皮標本
所在地:秩父市三峰298-1(秩父宮記念三峰山博物館)
所有者:宗教法人三峰神社
二ホンオオカミは、明治38年(1905)に奈良県で捕獲された個体が最後の記録とされる絶滅種で、残されている標本は非常に少ない。
秩父地域周辺の民家には、江戸時代から明治時代にかけて秩父山地で獲られたと伝わる毛皮や頭骨などが複数残されている。これらは魔除けなどに利用されたもので、秩父地域の風習を伝える民俗資料であるとともに、オオカミを祀る三峯神社に代表される地域の信仰や、人々とオオカミとの結びつきを示す資料でもある。三峰山博物館では、二ホンオオカミの毛皮標本を2点所蔵、公開している。
また、秩父山地は最後の捕獲記録のある紀伊山地などとともに、二ホンオオカミが比較的最後まで生息した地域の一つとされ、こららの資料は、秩父山地にかつて二ホンオオカミが分布していた物的証拠としても貴重なものといえる。
併せて、世界的に二ホンオオカミの標本数が少ない中で、比較的狭い地域にまとまった数の資料が残されており、今後、絶滅種二ホンオオカミの形態、生態、遺伝情報等の研究が進められる上でも学術上重要な資料である。