地域新電力会社「秩父新電力株式会社」の設立と歩み
秩父市が出資する地域新電力会社「秩父新電力株式会社」が平成30年4月4日付で設立されました。
この秩父新電力株式会社では、秩父広域市町村圏組合のごみ処理発電などの地域内で再生可能エネルギーを活用して発電された電力や日本卸電力取引所等から調達する電力を、秩父地域を中心に供給しています。
平成31年4月から市や秩父広域市町村圏組合などの公共施設へ電力供給を開始し、これまで段階的に市内の民間事業所、周辺自治体・姉妹都市の公共施設や民間事業所などに供給先を広げてきました。そして、令和3年10月からは一般家庭にも供給を開始しています。
秩父新電力株式会社HPはこちら→http://www.chichibu-pps.co.jp/
地域新電力会社とは
今まで一般電気事業者しかできなかった電力供給事業は、平成28年4月の電力小売自由化に伴い、小売電気事業者登録を行うことで、事業への参入が可能となりました。
このため、特定の地域に限定した電力供給を行う「地域新電力会社」の設立が可能となりました。
地域新電力会社の必要性
電力についても、農作物等と同様に、地域で作られたものを地域で消費すること(「地産地消」と言います。)は非常に効率的であり、ロスも少なく、環境に優しい取り組みであることは言うまでもありません。
このため秩父市では「電力の地産地消」に取り組んでまいりましたが、秩父市内は平成27年10月より東京電力による「系統連系制約エリア」に指定されました。
系統連系とは、電力を送電網(電線)に繋げることですが、制約エリアに指定されたことにより、市内では50kW以上の発電施設を新たに作っても送電網に繋ぐことができません。発電した電力をその発電施設から離れた場所で使えるようにするためには、自前の電線を整備する必要があり、それには莫大な費用がかかるため、新たに電力を「地産」しても活用することが困難となりました。
一方、電力を新たに「地産」しなくても、市内には再生可能エネルギーを活用した発電施設が他地域より多く存在しています。
しかし、そのほとんどの電力は市外へ売電され、市内で使われることなく、他地域で使われています。
また、市内に電力会社がない現状では、市外の電力会社に支払う電気料金として数十億円が市外に流出しています。
これらの課題に対応するには、「地域の再生可能エネルギーを地消する」、「地域から流出していたお金を地域内で循環させる」ために、電力を「仕入れて卸す」仕組みが必要となります。その役割を果たすのが「地域新電力会社」です。
地域新電力会社の目的
- 「再生可能エネルギーの地産地消」を目指します。
地域で作られた再生可能エネルギーをそのまま地域で使うことにより、環境に配慮したまちづくりの実現を目指します。
- 地域経済の活性化を目指します。
電気使用料金として秩父市から流出していたお金を、できる限り地域にとどめ、地域内で循環させることにより、地域経済の活性化を図ります。
さらに、地域新電力会社での利益等は、地域課題解決のために活用することとし、新しい事業展開なども実施することにより、地域の雇用創出を目指します。
地域新電力会社は、単に電力を供給することが目的ではありません。
地域新電力会社は、地域の課題解決に向けた、ひとつのツール(方策)となるものと考えます。
ドイツでは、「シュタットベルケ」という自治体出資の会社が約1,100あると言われています。そのうち約800の「シュタットベルケ」では、電力供給事業を展開しており、その利益で他の不採算部門の行政サービス等を補っています。
秩父新電力(株)は秩父市版シュタットベルケを目指します。
皆さまのご理解、ご協力をお願いします。